◆◆九音響也はメンタリスト◆◆

——現在テレビで見ない日はないというほど大活躍しているメンタリストDaiGoさん。そんなDaiGoさんが「主人公が自分そっくりだ」と驚いたという作品が本誌連載中の『コンシェルジュ プラチナム』。今回は本作の魅力をDaiGoさんと、そのパートナーむらやまじゅんさんに語っていただきました。それでは、まずはおふたりのことからお話しいただけますか?

DaiGo 僕らはメンタリズムをパフォーマンス的に見せる活動をしています。テレビ等にメンタリストDaiGoとして出演しているのは僕なのですが、実際には僕とむらやまのふたりで活動しているんです。

むらやま メンタリズムっていうのは、哲学用語で形而上という意味なんですけど、眼に見えないものとか、形にならないもの、つまり人の心の中の動きなんかをひっくるめた言葉として使われています。

DaiGo 人の心を読んだり操ったりするのはメンタリズムの一側面ですけど、そういう意味では『コンシェルジュ プラチナム』の主人公、九音響也もメンタリストと言えますね。

十津川が能力をただ行使する九音を嗜める。初期の九音はDaiGoさんに似ているという。

むらやま 僕ね、『コンシェルジュ プラチナム』を知って、これは是非DaiGoに読ませないといけないと思ったんですよ。九音は最初、人の心を読むだけのキャラでしたけど、だんだんと人と関わるのにそれだけじゃ駄目だということに気付くじゃないですか。DaiGoは学術肌の男でして、初期の九音のように容赦がない。第1話でチーフコンシェルジュの十津川が九音をたしなめますよね。「私達の仕事は人の心を見透かすことではなく、想いを理解することから始まります」って。僕もこれをDaiGoに伝えたい。

DaiGo 確かに九音と僕はすごく似ていると思いますね。人の心は読めるけど、相手に寄り添って考えられないというのはまさに僕です。ただ、九音はそれじゃいけないんだということに気付き始めますけど、僕は気付いても認める気がない(笑)

むらやま まあこんな風に僕らは性格が正反対なんですよ。例えば僕はエンターテイメントが大好きなんですが、実はDaiGoはテレビなんかでパフォーマンスをするのも好きじゃないんです。

DaiGo パフォーマンスはなるべくするべきじゃないと僕は思っています。メンタリズムを九音のように使えば基本的に失敗はないんですよ。何をされているのか、されている側には分からないわけですから。コミュニケーションに心理的なテクニックを使われているのか、普通に話しかけられているだけなのか。だから効果が出なくてもマイナスにはならない。だけどパフォーマンスには失敗があります。当てますって言ってから外す可能性もある。普通の人間関係だったら予告も宣言もする必要がないですから、メンタリストとしてはこちらの方が理想的だと僕は考えているんです。


◆◆心を読む思考の流れ◆◆

作中では九音が作り笑いの見抜き方を披露した。DaiGoさんによると笑いには三種類あるという。

第三者を介して人を褒めるウィンザー効果。会社員なら覚えておいて損のない心理学だ。

——『コンシェルジュ プラチナム』の中で、これは自分達でも使うなというテクニックはありますか?

むらやま たくさんありますよ。例えば第1話の作り笑いの見抜き方。DaiGoは人の笑いには3つあるといってこれを詳しく説明しています。

DaiGo 人は笑う時に目の周りの眼輪筋が動くんです。これが本当の笑い。次に作り笑い、マスキングスマイルというんですが、これをする場合はほっぺたの筋肉が強く動く。そして最後が嘲笑、軽蔑の笑いですが、これは左右非対称の笑い方になります。メンタリストはコミュニケーションの際、相手がどういう風に笑うかを見て嘘を見抜いたりもしますね。

むらやま それに表情以外からも心は読み取れます。第①巻の第2話で建築家のフランク氏の足の動きや向きから、九音は彼が退屈していることや、興味を持った香水のことを正確に読み取ってしまう。ここで大事なのは、話したり表情が見えたりしなくても九音は体の動きから相手の心が分かるということなんです。これってまさにDaiGoがやっているメンタリズムパフォーマンスと同じ観察と思考の流れなんですよ。

DaiGo 第2話は同調ダンス、ミラーリングとかマッチングとも呼ばれますが、あの描写も面白かったですね。ミラーリングは我々メンタリストもよく使いますが、これは動作だけじゃなくて、例えばメールなんかにも使えます。改行が多い人には改行を多くして返す、短い文面の人には短い文面で返す、絵文字をよく使う人には絵文字を使って返す、そうすると好感度が上がるんです。

むらやま あと第②巻の第5話、人をほめる時は第三者を介するっていうのも使いますね。ウィンザー効果というんですが、第三者を介すると説得力が上がる。それと第6話のバウムテストみたいな、描いた絵から何かを読み取る能力もDaiGoは高いです。


◆◆初公開の種明かし!◆◆

——テレビで拝見したパフォーマンスに、絵を見て誰が描いたか当てるというものがありましたが、それもそういった能力によるものですか?

DaiGo あれは全然違いますね。ペンの色がどうとか、描いた絵がどうとか言ってますがなんの関係性もありません。そういう心理学的な分析があるのは本当ですが、かといってそれを使って描いた人を当てているわけではないんです。

むらやま これ言っちゃっていいのかなぁ。うーん、種明かしした方が面白くなるか。もうこれ本邦初公開です。今後出す本に書こうと思ってるんですけど。

——もし書いちゃまずかったら記事にはしませんよ。

むらやま いえ、これはDaiGoのパフォーマンスの機能の部分に関連したことで、面白いんで是非書いて下さい。よくネットなんかでDaiGoはインチキだという書かれ方をしてるんです。心理学なんか使ってないのに心理学を使っていると嘘をつく詐欺師だと。でもその指摘は全然的外れで、僕らは実際に心理学に基づいてパフォーマンスを構築しているけど、そこに心理学を本当に使っているか使ってないかは別問題なんです。要は口で説明している心理学と、実際に行っている心理的な操作やテクニックはまったく別のところで行われているということが大事なんです。

DaiGo 実際に心理学の原理を利用するのもひとつの使い方ですが、心理学という単語を利用するのもまたひとつの使い方なんですよ。全部心理学でやってると思わせたら、何気ない動作でも心理的に意味があるんじゃないかと思わせることができ、心理学を使ってない時でも心理学を匂わすことができる。

むらやま 先ほどの紙に描いた絵からその人の心理や誰が描いたかを当てるというパフォーマンスですが、あれは絵を見てもDaiGoは誰が描いたのか実際には分からないんです。それでその絵をみんなに見せて解説を始めるんですね。この色を使う人はこういう人で、こういう絵を描く人はこういうタイプだと。それを歩きながら行ってひとりひとりの目を見ていくと、絵を描いた人はずっとDaiGoのことを目で追い続けるんです。自分の事が話されてるわけですから。でもそうでない人は長く話すほど飽きてきて、目線が落ちたり、キョロキョロしたり、足を組んだり、体重が後ろにかかったりします。DaiGoはそれを見て、絶妙のさじ加減と最短のスピードで描いた人を当てるんです。

DaiGo 極端に言うと、話してる内容は当たってなくてもいいんです。基本的に二択ですから、言って外れたら「実は」とか「しかし」で切り口を変えてしまえばいい。これは占い師や霊能者がよく使うコールドリーディング的話法ですね。

むらやま 今言ったような嘘と本当を混ぜて相手を攪乱させることで心理誘導するのが僕らのメンタリズムパフォーマンスの真髄なんですが、どうもその面白さが日本ではまだ伝わってないなと感じますね。つまるところ相手の心を誘導して操るのに心理学を使おうがトリックを使おうが構わないわけです。

DaiGo 海外にはトリック寄りのメンタリストも沢山いますからね。ただ日本でそれをやると理解されない、手品と何が違うんだといわれてしまう。だから僕らは心理学寄りのメンタリストになったという部分もあります。


◆◆恋愛の丸秘テクニック◆◆

——『コンシェルジュ プラチナム』に今後期待したい展開などあったら教えて下さい。

むらやま 僕が一番見たいのはやっぱり恋愛方面ですね。僕もDaiGoもそうですけれど、恋に落ちるとどれだけ心理学が分かっていても盲目になってしまう。九音はかつて仲間と決別した過去があるじゃないですか。そこに恋愛が絡んでたりしたら面白いなーと思って僕は見ていますけど。ちょっと宣伝になってしまいますが、先日青春出版社から『メンタリズム 恋愛の絶対法則』という本を出しまして、ゼノンの読者的にも恋愛のテクニックというのは興味深いモチーフじゃないかなと思っています。

DaiGo そういえば『コンシェルジュ プラチナム』では心の作用が体に現れるっていうのは良く出てきますが、逆はあまりありませんね。実は体の作用が心に及ぼす影響というのもあって、これはこの本にも書いたことですが、人は一目惚れをして恋に落ちた時に瞳孔が大きく開くんです。これを逆手にとって、例えば恋愛関係になりたい相手と、夕方になると照明を暗くするようなカフェに行く。照明が落ちる瞬間には瞳孔が拡大するので、一緒にいる相手に対して恋愛感情や性的な高ぶりを覚えやすくなるというわけです。

むらやま こういったテクニックを九音が使って恋愛関係を上手く構築していくとこ、見たいですねー。あ、あとDaiGo、作中に登場させてもらったらいいんじゃない?

作中でDaiGoさんが最も好きだというシーン。 日常生活で中々言う機会はなさそうだが…。

DaiGo え!? 別に僕はいいけど、それはどういう立ち位置で?

むらやま なんかふらっと商店街に現れた、仕事に疲れたメンタリストDaiGoと九音の対決とかでさ。最後痛み分けというか、お互い何かひとつやられたなっていうことを残して帰っていくみたいな。

DaiGo なるほど。それぐらいならちょうどいいかもね。

——DaiGoさん出演の件、藤栄先生に話してみますね。最後に一言お願いします。

DaiGo 最初の話に戻りますが、僕は九音には周りから何を言われても跳ねのけてもらいたいですね。凄い技術を持ってるんだから自分を貫けと。きっと自分と似てるから歯がゆくなっちゃうんでしょうね。ちなみに僕が作中で一番好きなシーンは、第1話で的場を完膚なきまでに叩きのめすシーンです。「あなたはそういう人間なんです」って多分僕も言ったことありますよ(笑)

むらやま DaiGoがこんな感じなんで、最後は僕がいい感じに締めますね(笑)。『コンシェルジュ プラチナム』はメンタリストが読んでも非常に面白い作品です。藤栄先生はメンタリストと同じ思考でこの作品を描いていると思いますね。今後の九音の活躍をますます期待しています!

——ありがとうございました!


メンタリストDaiGo
「すべての超常現象は科学的に再現できる」を信条に、超常現象を再構成して再現する「メンタリズム」の第一人者。メンタリズム研究会『スリーコール』代表のむらやまじゅんとメンバーのDaiGoによるユニット名義であり、リサーチとパフォーマンスをDaiGoが、パフォーマンスの作成や構成、執筆、台本をむらやまが手がけている。『笑っていいとも!』『SMAP×SMAP』など、数々の人気テレビ番組に出演する他、ディナーショーや企業講演などのイベントも多数開催。